60歳以上のセカンドライフプランニングとは
60歳になって定年を迎えると、仕事から離れライフスタイルが劇的に変化します。
リタイアから平均寿命まで20年強「どのような生活を送りたいのか」をじっくり考える必要が出てきます。
リタイア後、1日の自由に使える時間が平均10時間とします。
60歳から平均寿命までで換算すると、男性は約78,800時間(女性なら約101,100時間)となります。
この78,800時間をどのように働いていくのかを計画することが「セカンドライフプランニング」です。
60代で登山を始め、80代でエベレストに登頂した方がいるように、60歳から始められることはたくさんあります。
このさき20数年間どんな生活を送り、どんな働き方をしたいですか。
セカンドライフプランニング
「できること」「やりたいこと」「こだわりたいこと」を整理し、これからの生き方・働き方をプランニングします。
- セカンドライフプランニング1 何歳まで働きたいか
- セカンドライフプランニング2 何のために働くのか
- 60歳以降も働く理由をハッキリさせる
- セカンドライフプランニング3 ファイナンシャルプランニング
- 家計簿をつけて、今後の収支を計算する
- セカンドライフプランニング4 あなたが望む働き方を見つける
- 「何ができるか」経験やスキルを分析(キャリアの棚卸し)
- 1日何時間、週何日働きたいか
- 適した雇用形態はどれか(正社員、派遣、パート・バイト)
- 給与・勤務地など必要条件の整理
70歳でも働く、超高齢化社会の到来
世界保健機構(WHO)は高齢化率に応じて、区分を設けています。
- 高齢化社会(7~14%)
- 高齢社会(14~21%)
- 超高齢社会(21%~)
日本の高齢者(65歳以上)は戦後一貫して増えており、2020年は3602万人になります。
2020年の高齢化率は28.6%で、国民の3.5人に1人が65歳以上です。
今後20年間、さらに高齢者は増え続けると予想されています。
高齢者人口のピークは2042年の3935万人で、それ以降は減少するといわれています。
高齢化率は上昇する一方です。
- 2025年に30%超え
- 2040年に35%超え
- 2065年に38.4%でピーク
2065年には、国民の2.6人に1人が65歳以上という社会が到来することになります。
65歳完全定年者、何歳まで働きたいですか
2020年、日本人は世界で一番長生きになりました。
60歳の男性はあと22年弱、女性は28年弱生きます。
まことに喜ばしいことですが、長く生きるとなれば老後資金がたくさん必要になります。
それを「貯蓄と年金だけでカバーできるのか」と心配になってきます。
平均寿命とは?
平均寿命とは、0歳時点で何歳まで生きられるかを統計から予測した「平均余命」のことです。
言い換えれば「特定の人が生きられるおおよその年齢」になります。
2020年 日本人の平均寿命
- 男性 81.6歳 世界2位
- 女性 87.7歳 世界1位
- 国別 世界1位
健康寿命はあと何年?
健康寿命とは「日常生活を制限されることなく、健康的に生活を送ることができる期間」をいいます。
「日常生活の制限」とは、介護や病気などを指し、自立して元気に過ごすことができない状態です。
とても長生きでも、長期間にわたり介護や入院が必要であれば、健康寿命は短いということになります。
2019年 日本人の健康寿命
- 男性 72.68歳
- 女性 75.38歳
60歳65歳70歳、何歳まで働きたいか
内閣府が、60歳以上の働いている高齢者に対して、何歳まで働きたいかを調べています。
- 65歳くらいまで 13.5%
- 70歳くらいまで 21.9%
- 75歳くらいまで 11.4%
- 80歳くらいまで 4.4%
- 働けるうちは
いつまでも 42.0% - 仕事をしたくない 1.8%
- その他 5.0%
調査によると、65歳まで働きたい人は13.5%です。
では、このデータから「最低でも65歳までは働きたい人」はどれくらいかを考えてみましょう。
最低でも65歳まで働きたい人は、「65歳まで働きたい人」に「65歳を超えた年齢まで働きたい人」をプラスしたものになります。
- 65歳くらいまで 13.5%
- 70歳くらいまで 21.9%
- 75歳くらいまで 11.4%
- 80歳くらいまで 4.4%
- 働けるうちは
いつまでも 42.0% - 最低でも
65歳まで働きたい人 93.2%
「最低でも65歳までは働きたい人」は93.2%になりました。
いまの50代が年金をもらえるのは65歳からです。
その点を考慮すれば、まずは妥当な結果といえるでしょう。
「年金をもらうまでは頑張る」ということです。
続いて同じ手法で「働きたい年齢」ごとの率を計算してみました。
- 最低でも70歳
までは働きたい 79.7% - 最低でも75歳
までは働きたい 57.8% - 最低でも80歳
まで働きたい 46.4% - 働けるうちは
いつまでも 42.0%
いま60歳の日本人は「あと10年、70歳までは働きたい人」が約8割。
「あと20年、80歳までは働きたい人」が約5割という結果になりました。
そのうえ、働けるうちは「いつまでも働きたい人」が約4割もおられます。
日本人は勤勉だと聞かされてきましたが、いくら何でも多すぎないでしょうか。
また、もしこの結果が本当だとしたら、それはなぜでしょうか。
男性の平均寿命は81.6歳だけど、健康寿命は72.68歳なんだよ。なぜいつまでも働きたいと思うのか、まったくわからない。貯金と年金で海外旅行に行かなくちゃ!
それがよろしおす。定年退職しはったら「フランスのパリ」に連れて行っておくれやす。わて買いたいモノが仰山おます!
人生100年時代、シニアの身体は「資産」である
「病気で苦しむことなく、元気に長生きし、最後は苦しまず、コロリと死にたい」(中略)
「いわゆるピンピンコロリで死にたい」と考える方は多いかもしれません。
しかし、現在このように亡くなる人の割合は、男性で10%、女性で2%程度。
1970年代に心筋梗塞を患い亡くなった方の4分の3の人は現在のカテーテル治療では助けられるとも言われています。
かつては治療が困難で、死に至るレベルだった急性疾患であっても、助けられる事例が増えたことがこの一因だと言われています。
従来の「人生70年時代」では、死ぬまで認知症になったり、寝たきりになったりしなくても最期を迎えることができたのですが「現在は病気で簡単に死ねない時代」なのです。
「ピンピンコロリ」に代わって、昨今増えているのが「凸凹パターン」。
つまり、心筋梗塞や脳梗塞など急性疾患を乗り越えた後、後遺症を抱えるなどし、身体機能の低下を抱えたまま、最期を迎える状態だと言われています。(中略)
しかし、「凸凹パターン」の状態はいわば、「病気で長年苦しみ、長年医療費を払い続けるというつらい老後を送るリスクがある状態」とも言い換えられます。
「できれば避けたい」と思う人も多いのではないでしょうか。
横山啓太郎『健康をマネジメントする 人生100年時代、あなたの身体は「資産」である』CCCメディアハウス
65歳以上でも、働かねばならないから働く
若いころと違って、60歳から必要になるお金は生活費だけではありません。
やがて医療費や介護費が加わってきます。
あなたの最期が「脳卒中や心臓病でピンピンコロリ」と決まっているのなら、医療費や介護費は考えなくてよいでしょう。
しかし、自分がどのような病気にかかり、どのように死んでいくかなど、誰にもわからないことです。
病気をかかえ、入退院をくりかえせば多額の医療費が生じます。
あるいは「介護付き老人ホーム」に入ることにでもなれば、首都圏なら月40万円、地方で月20万円くらいは普通にかかります。
「身体が元気なうちに少しでも働いておきたい」と思うのは、自然な気持ちです。
世界一の高齢社会を迎えた日本国と日本人。
私たちは「働きたいから働く」のでありません。
「働かなければならないから働く」のです。
あなたは何歳まで働きたいですか?