定年後の仕事 

60歳定年後【独立・起業の失敗例】 やらかした! 念願のコーヒーショップが潰れた理由

そもそも起業とは9割が失敗するもの


起業の成功率について「起業は9割が失敗する、1割しか生き残れない」という話を聞いたことはありませんか。

実際に「9割失敗する」かどうかはともかく、起業は数多くのリスク(不確実性)がつきまとう「リスクの塊」であることは間違いありません。

●帝国データバンクの統計データによる「企業の生存率」

  企業の10年後の生存率 : 70%
  企業の20年後の生存率 : 52%

企業の10年後生存率は7割と、なかなか高い数値です。しかし、このデータは大企業を含んだものです。小規模企業だけにデータを絞れば、7割からさらに下がることが予想されます。

●日経ビジネスによる「ベンチャー企業の生存率」

  起業5年後 : 15.0%
  起業10年後 : 6.3%
  起業15年後 : 0.3%

60歳定年後の起業 成功と失敗の違いは何か


これからシニア起業を考えている方に問いたい。

「たくさんのお客さん」または「プロフェッショナルな技術・サービス」のどちらかを持っていますか?

  1. 両方持っているなら、高い確率で成功します
  2. 片方だけ持っているなら、成功する確率は五分五分
  3. 両方持っていないなら、失敗する確率が高くなります
    起業プランを再考してください


コーヒーショップ、レストラン、理髪店、バイクショップ、どれを始めるにしても「お客さんがまったくいない状態」で開店する場合がほとんどではないでしょうか。

「お客さんがまったくいない状態」でお店を開き、たまたま来店したお客さんに「プロフェッショナルな技術・サービスを提供する」ことでリピータになってもらい、お客さんが増えてビジネスが軌道にのっていく。

つまり、商売は「リピーターをいかに増やしていけるか」です。

しかし、起業するとき「アマチュアレベルの技術・サービスしか持っていなかった」らどうでしょう。せっかく来店してくれたお客さんが「いちげん客」でおわり、リピーター(固定客)になってくれません。

これでは、いつまでたっても「いちげん客」ばかり、お客さんが増えず、ビジネスが軌道にのりません。

起業時に「たくさんのお客さん」
または「プロフェッショナル
な技術・サービス」
少なくとも片方は持っていたい

シニア起業の失敗例 (コーヒーショップ)


Cさんは65歳で大手企業を定年退職しました。

豆から挽いて飲むほどコーヒーが好きでしたから、退職金を使って念願のコーヒーショップを始めることにしました。

早速、商店街に店舗を借りて「お店作り」からスタートします。とにかく内装にこだわりました。食器やテーブルも高価なものを使ったため、退職金だけでは足りなくなり、銀行から融資を受けました。

そして、Cさんの理想通りに仕上がった「こだわりのコーヒーショップ」が完成しました。

(写真と記事は関係ありません)

ところが、オープン当初から思ったほどお客さんが入りません。

すでに退職金は使い切っており、家賃と借入金の返済があるため、ほどなく資金繰りに苦労し始めます。

残念ながら、たった2年で経営に行き詰まり、お店を閉めることになってしまいました。

シニア起業の成功例 (カフェレストラン)


D子さんは調理師の資格を持っており、これまでさまざまな飲食店で働いてきました

また、仕事とは関係なく「料理とお菓子作り」が大好きだったので、それを目当てに友人や知人たちが材料費持参で自宅まで食べに来ていました。

定年を迎えたD子さんは考えました。「こうして皆が食べに来てくれるなら」と、自宅一階を改造し「小さなカフェレストラン」をオープンしました。

(写真と記事は関係ありません)

これが非常に好評で、瞬く間に「口コミ」で広がります。友人・知人だけでなく、近所の人たちまで定期的に食べに来てくれるようになりました。

大好きな「料理とお菓子作り」で周囲の人が幸せになっただけでなく、定年後の安定収入まで確保しました。

しばらくして、娘さんが「自分もやりたい」と言ってきたので、別の場所に2号店をオープンし、今では2店舗の経営者になっています。

独立と起業はまったくの別物


独立」と「起業」は違います。イメージとしては似ていますが、この二つはまったくの別物です。

「独立・起業」と聞いてイメージするのは、ネットショップを始めるとか、飲食店を開く、または資格を取得して開業するなどの「起業」でしょう。起業とは、それまで「まったく経験のない仕事で事業を始める」ことです。

しかし「独立」は違います。

いままで長年仕事で培ってきた「経験、知識、スキル」を使って始めます。

イメージとしては、同じ仕事をして「会社で雇われて給与をもらう形」から「会社ではなく社会から報酬をもらう形」に変わる感じです。

シニアが成功しているのは、こうした「独立」のシナリオです。

Cさんの
コーヒーショップ
D子さんの
カフェレストラン
形態起業独立・開業
起業時
のお客
×: ほとんど
  いない
:ある程度いる
技術力×: アマチュア
  レベル
:プロフェッ
  ショナル
投資
金額
×: 過剰な投資:最小限の投資
参入し
た業界
の状況
×: レッド
  オーシャン
  競争が激しい
  開業率廃業率
  ともに高い
×: レッド
  オーシャン
  競争が激しい
  開業率廃業率
  ともに高い


Cさんは「お客さんがほとんどいいない状態」で起業し、技術力はアマチュアレベル。おまけに過剰な投資をしてしまった。

D子さんは「お客さんがある程度いる状態」で独立・開業し、技術力はプロフェッショナル。自宅を改造し投資も最低限に抑えた。

これらの違いが、2つのコーヒーショップの命運を分けたのです。

塾長 コンドー

Cさんやらかした。店舗を借りて過剰な投資をしてしまった。かたやD子さんは自宅を改造してお店を開いた。でもCさんの「65歳から何か始めよう」という心意気は立派! ちょっと授業料が高かったけどねー。

嫁 ツネさん

あんさん、Cさんはどないすれば良かったの? 

塾長 コンドー

まず3年くらい早く退職して、繁盛しているコーヒーショップ2~3店舗で働き、業務スキルや経営ノウハウを習得すべきだったね。それと、店舗も自宅を改造するか、賃貸ならカウンターだけの極小店舗から始めたら良かったかなぁ。

嫁 ツネさん

なんや、あんさんのやり方は貧乏くさいわぁ、ホンマにそれでええの?

シニア起業はお金をかけない。小さく小さく始める


日経ビジネスによる「ベンチャー企業の生存率」によれば、起業5年後の生存率は15%。起業なんて8~9割は失敗するもの。

とにかく「最初はお金をかけてはダメ」です。できるだけ小さく小さく始める


凄腕の経営者たちの「起業のやり方」を見てみましょう。

凄腕の経営者起業の始め方
カーネル・サンダース
ケンタッキー・フライド
・チキンを作った
(KFC 創業者)
チキンと調理器具を
積み込み
車で飛び込み営業
安藤百福
即席ラーメンを創った
(日清食品創業者)
自宅敷地内の小屋で
即席ラーメンを創る
スティーブ・ジョブズ
マイコンの開発
(Apple Com.創業者)
友人のガレージで
マイコンを開発
前澤友作
衣料品のネット通販
(zozoの創業者)
自宅アパートで
輸入レコード・CD
の通販を開始


起業の始め方をようく見てください。誰もお金をかけていません。お金をかけず小さく始めて、最初の商品やサービスを作る。

そして「商品やサービスの売上金」を使って次の投資をする。このパターンが鉄則です

とにかく、最初はお金をかけない
できるだけ、小さく小さく始める

小さく始め最初の商品やサービスを作る
その「商品やサービスの売上金」

を使って次の投資をする。これが鉄則!

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