60歳定年後、あなたは何のために働くのですか
日本総合福祉アカデミーが「定年後の働き方アンケート調査(2019)」を実施しています。
そのなかに「定年前後の仕事観について『働くうえで最も重視していること』」という項目があります。
定 年 前
- 地位・役職 92.7%
- 会社の業績向上 91.5%
- 給料 79.5%
定 年 後
- 人とのつながり 70.7%
- ワークバランス 70.7%
- 社会貢献 65.3%
調査結果によると、働く人の仕事観が定年前と定年後で変化しています。人は定年を境に「働くうえで重視すること」が大きく変わるようです。
だとすれば、あなたが「定年後どのような働き方を望んでいるか」を一度ハッキリさせる必要があります。ここが明確であればあるほど、今後の仕事探しがスムーズに進みます。
この点に関しては、ジックリと腰をすえて考えなければなりません。
「あなたが望む働き方」を知るための第一歩、それは「あなたは何のために働くのか」を知ることです。
日本労働組合連合会が「60歳以降も働きたいと思う理由」を調査しています。
連合(JTUC) 高齢者雇用に関する調査2019 (複数回答形式)
- 生活の糧を得るため 77.0%
- 健康を維持するため 46.2%
- 生活の質を高めるため 33.9%
- 仕事に生きがいを感じているため 28.8%
- 仕事を辞めてもやることがないから 24.9%
- 勤務先から継続を望まれているから 15.4%
- 周囲の人も60歳以降働くから 14.9%
- 人脈を維持するため 9.4%
- その他 3.4%
第一位は「生活の糧(お金)を得るため」でした。回答率は約8割(77.0%)圧倒的です。
もともと仕事なんてお金を稼ぐためにするもの、この結果は当然でしょう。
60歳以降も働く理由 第一位
生活の糧(お金)を得るため 77.0%
お金はあります。中学時代の同級生Y君
塾長コンドーの中学時代、同級生にY君がいます。祖父、父、Y君と三代続く資産家の生まれです。マンションを数棟所有しており、庭の池には錦鯉が泳ぐ豪邸に住んでいます。
そんなY君ですが、外で働いた経験がほとんどありません。確か、大学を卒業して電電公社(NTTの前身)に3年くらい勤めただけです。
その後は、所有しているマンションの家賃回収とか、ご両親の世話など、家の手伝いをしています。むろん、いまも豪邸に住み、何不自由なく暮らしています。
でも、Y君は不幸なのです。豪邸に住み、何不自由ない生活なのに、理由はわからないが心が満たされない。
何を言いたいかというと、働くことには「お金以外の何か」があるように思えるのです。
Y君のお父さんは頭がいい。富士銀行(みずほ銀行の前身)に数年勤め、嫁を貰ってから実家を継いだ。アイツ(Y君)はアホだから、嫁を貰う前に電電公社を辞めてしまった。そのまま、生涯独身。家は資産家でも本人は貧乏。たぶん幸せではない。
なんや不憫なお人どすなぁ。ご両親が亡くなりYさんがお金持ちになりはったら、わてがお嫁さん紹介してあげます!
60歳定年後も働く理由(お金以外)
では、60歳以降も働く場合「お金を得るため」以外に、どのような理由があるでしょうか。
下の表1「あなたが60歳以降も働く理由」を見てください。これは「60歳以降も働く理由」を知るためにつくった簡単なツールです。
- 左のランには「60歳以降も働く主な理由」が書いてあります
- つぎに各理由が自分にとってどれくらい大切か、その重要度を〇△×で評価します
- 最後に重要度応じてに配点し「60歳以降も働く理由」に対する割合(%)を計算します
表1 あなたが60歳以降も働く理由
60歳以降も働く理由 | 重要度 | 点数 | 割合(%) |
収入を得るため | ーー | ーー | ーー |
健康維持のため | |||
仕事が生きがい | |||
人とのつながり | |||
社会貢献 | |||
生活の質を高めるため | |||
ワークライフバランス | |||
他にやることがない | |||
その他( ) | |||
合 計 |
表1「あなたが60歳定年後も働く理由」の記入方法
- 重要度の欄:つぎの4つで評価します
- とくに該当する ◎
- 該当する 〇
- すこし該当する △
- 該当しない ×
- 点数の欄:つぎのように配点します
- ◎は 3点
- 〇は 2点
- △は 1点
- ×は 0点
- 割合(%)の欄:(各項目の点数)/(点数ランの合計値)× 100
- その他の欄(最下段):( )に具体的内容を書く
表1「あなたが60歳定年後も働く理由」の記入例
架空の人物(山田太郎)で、表1「あなたが60歳以降も働く理由」の記入例をつくりました。
表1 あなたが60歳以降も働く理由
(山田太郎の場合)
60歳以降も働く理由 | 重要度 | 点数 | 割合(%) |
収入を得るため | ーー | ーー | ーー |
健康維持のため | ◎ | 3 | 33.3 |
仕事が生きがい | × | 0 | 0.0 |
人とのつながり | 〇 | 2 | 22.2 |
社会貢献 | △ | 1 | 11.1 |
生活の質を高めるため | × | 0 | 0.0 |
ワークライフバランス | × | 0 | 0.0 |
他にやることがない | × | 0 | 0.0 |
その他(知人に頼まれた) | ◎ | 3 | 33.3 |
合 計 | 9 | 100.0 |
山田太郎が働く理由(お金を稼ぐ以外)
- 最大の理由は「健康の維持」と「知人に頼まれたこと」
- 2番目が「人とのつながりを維持すること」
- 3番目が「社会貢献」
ポイントは「働く理由の重要度を〇×で評価するところ」そこさえキチンとできたら、まともな結果がでると思うよ。
あんさんも新選組を始めるとき、こないなこと考えはったんどすか?
60歳以降「働く理由」が及ぼす影響
この結果を、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
表2は「60歳以降も働く理由」が、実際の仕事探しにおいて、どのような影響を及ぼすかを示したものです。
表2 働く理由が仕事探しに与える影響
60歳以降 働く理由 | 仕事探しに与える影響 |
収入を 得るため | 雇用形態、勤務日数、勤務時間 に影響する |
健康維持 のため | 仕事における運動量に影響する (適度な運動量の仕事か) |
仕事が 生きがい | 仕事の内容に影響する (生きがい、ヤリガイあるか) |
人との つながり | 様々な年代の人や立場が異なる 人との接触や会話があること |
社会貢献 | 仕事をすることは、社会で必要 な役割のひとつを担うこと 狭義ならボランティアやNPO、 医療、教育、介護etc。 広義ならほとんどの仕事が該当 |
生活の質 を高める | 生活の質(QOL)とは「よりよ く生きる」「その人らしい生活 を送る」といった、主観的な 「幸福」「満足」「充実」を示 すもの つまり他の全ての項目(収入を 得る~その他)と内容が重なり、 代替が可能 ゆえに仕事探しには影響なし |
ワーク ライフ バランス | 仕事と仕事以外の時間割合なの で、勤務日数、勤務時間に影響 |
他にやる ことない | 仕事はひまつぶし。精神的また は肉体的なストレス度に影響 |
その他 ( ) | 具体的内容が個別のため、 その都度影響を評価する |
表2を山田太郎さんの例にあてはめる
表3 仕事探しで考慮すること
(山田太郎さんの場合)
60歳以降 も働く理由 | (%) | 仕事探しで考慮すること |
収入を 得るため | ーー | 雇用形態、勤務日数、 勤務時間 |
健康維持 のため | 30% | 仕事で発生する運動量 |
知人に 頼まれた | 30% | 仕事探しには影響なし |
人との つながり | 20% | ある程度、人との接触 や会話があること |
社会貢献 | 10% | ボランティアやNPO、 医療、教育、介護など |
表1「60歳以降も働く理由」と
表3「仕事探しで考慮すること」
をつくってみよう!