シニア求人の現実

【シニアの求人】 50代60代の雇用不足はゼネラリスト(専門職以外)の問題だった!

50代60代、スペシャリスト(専門職)の場合


スペシャリスト(専門職)とは、一般的に知識や経験が必要で替えが効かない職業のことで、具体的には「技術や資格が必要な仕事」を指しています。

専門職は特定の分野で深い知識が求められるため、その知識や経験の証明として資格が必要になることが多いからです。

つまり、特定の分野の専門家としての仕事が専門職で、そうした専門職になるために技術や資格が必要ということです。

●表1 スペシャリスト(専門職)一覧

【 資格系 】【 飲食系 】
弁護士寿司職人
公認会計士コック
税理士調理師
社会保険労務士栄養士
司法書士パティシエ
  
【 その他 】【 医療・福祉系 】
パイロット医師
通訳歯科医師
ビジネスコンサルタント看護師
金融ディーラー歯科衛生士
ファンドマネージャー薬剤師
美容師・理容師作業療法士
理学療法士
【 現場系 】臨床検査技師
建築士介護士
施工管理士社会福祉士
自動車整備士
【 教育系 】
【 IT・Web系 】大学教授・助教授
システムエンジニア講師教師・塾講師
プログラマー大学職員
幼稚園教諭・保育士

スペシャリストの場合は、職業名がそのまま仕事の内容です。

ゆえに「どんな仕事があるか」ではなく、定年後に「どんな勤務先になるか」、もしくは「どんな雇用形態になるか」といった疑問になります。

50代60代、スペシャリスト(専門職)なら仕事はある


スペシャリスト(専門職)の方は、シニアになっても仕事はあると思います。

さすがに60歳を超えると、「正社員でそこそこの年収」とはいかないかもしれませんが、贅沢をいわなければ、仕事自体はあると思います。

  • 【理由1】 職種に特化した転職エージェントがたくさんある
    • 看護師、税理士、保育士、栄養士、SE、プログラマー、介護士etc.
  • 【理由2】 ほとんどの業界が人手不足である
    • 医療・福祉系、現場系、資格系、IT・Web系、飲食系、すべての業界が人手不足である
  • 【理由3】 ハローワークの求人がけた外れに多い
    • とくに建築、土木、電気工事といった現場系は全然足りてない。求人倍率は4~5倍

50代60代、ゼネラリスト(専門職以外)の場合


シニア向けの求人情報を見ていて感じるのは「正社員または社員待遇」の仕事が少ないことです。

ゼネラリスト(専門職以外)のシニアに対する求人は「非正規雇用の派遣とパート・アルバイト募集」ばかり。

厚生労働省の調査(平成29年勤労条件総合調査)によると、約8割の会社が60歳で定年です。

自社の社員でさえ60歳で定年退職させているのに、60歳前後の外部の人間を、わざわざ正社員で採用するわけがありません。

もし採用する会社があったら、やむを得ない理由があるのです。専門職で法律上、人数を揃えなければならない。介護のように、現場が人出不足でパニック状態。または、もともと定年を設定していない会社などです。

そう考えれば、企業側が55歳以降の人を正社員で採用したがらないのは、仕方のないことです。

50歳以上の転職・再就職は年収が大幅ダウン


50代のサラリーマンが高収入だった理由は、仕事の能力が高いからではありません。日本の企業が年功序列賃金が採用していたからです。

年功序列賃金は生涯収入の”長期後取り制度”です。ヤングは能力より安く、ミドルはトントン、シニアになると能力よりも高い給与をもらえます。50代が高収入の理由は”仕事の能力”ではなく”在籍年数の長さ”なのです。

つまり、シニアが転職・再就職をするということは、何らかの理由(倒産、リストラ、早期退職etc.)により、こうした”年功序列賃金の組織から離れる”ことなのです。

ゆえに、50歳以降の転職はよほどの専門的なスキルがない限り、収入の現状維持は困難です。特に大企業に勤める人は大幅な給与ダウン必至。たとえ運よく転職できたとしても、年収が半分以下になる可能性が高いということです。

また、離職後1年以内に次の仕事が決まる割合も55歳以上は4割しかありません。下手をすると1年以上無職になる可能性だってあります。

年収200万円くらいの派遣やパートでよければ、簡単に見つかりますけどね……。

  1. ゼネラリストで正社員希望の場合
    • 高待遇の正社員求人はほとんどない
    • 転職サイトや転職エージェントは役に立たない
    • ハローワークをメインとして公共職業紹介サービスがメイン
  2. ゼネラリストでパート・派遣希望の場合
    • シニア向けの求人がたくさんある
    • 転職サイトと公共職業紹介サービスを併用して利用できる
    • 非正規のパートや派遣では年収200万円がせいぜい

50代60代、派遣とパート・バイトの仕事内容


派遣とパート・アルバイトの仕事内容はどういったものか? 転職サイト『シニア求人ナビ』の職種ランを見てもらえば一目瞭然です。

このサイトの利用をおすすめしているわけではありません。「パート・アルバイト・派遣」の仕事内容がわかりやすく記載されていたためご紹介したまでです。

●表2 ゼネラリストの仕事内容 (「シニア求人ナビ」に掲載されている職種)

職種詳しい職種職種詳しい職種
清掃・
家事代行
オフィス清掃警備
・設備
施設警備
マンション清掃交通誘誘導
客室整備設備管理
家事代行その他警備・設備
その他清掃建築
・土木
建築・土木作業員
管理員・
コンシェルジュ
マンション管理設備工事
コンシェルジュ内装・外装
フロント・ホテルその他建築・土木
その他管理系ドライバ
・整備士
配達ドライバー
軽作業製造・組立・加工送迎ドライバー
物流タクシー
その他軽作業その他ドライバー
クリエイ
ティブ・
エンタメ
編集・校正・校閲整備士
印刷関連営業・事務・
コールセンター
事務・受付
Web関連コールセンター
芸能・エンタメ営業・テレアポ
その他クリエイティブその他オフィスワーク
フード調理・調理補助教育
・保育
保育士・幼稚園教諭
ホールベビーシッター
デリバリー講師・インストラクター
その他フードその他教育・保育
医療・介
護・福祉
看護関連理容
・美容
エステ・マッサージ
介護関連理容師・美容師
その他医療・介護・福祉メイク・着付
その他管理職・顧問その他理容・美容
農業・林業・漁業
その他

ゼネラリスト(専門職以外)の方は、
表2「ゼネラリストの仕事内容」

から仕事を選ぶことになる

表1と表2の差が、50歳以上の問題点


●シニア雇用の問題点は、表1(スペシャリスト一覧)と表2(ゼネラリストの仕事内容)の差になる。

  1. 【問題点】 スペシャリストとゼネラリストで、定年後の待遇や仕事内容に差がありすぎる
    • 表1と表2で内容を比べた場合、月とスッポンくらいに差がある
  2. 【問題点】 大企業の定年退職者、その6割が働かないのも仕方ない
    • 大企業の定年退職者はゼネラリストで、日本の勤労者でもっとも優秀です
    • 退職金も恵まれていて、受け取る年金も多い
    • その人が表2「ゼネラリストの仕事内容」を見てどう思う? 6割が働かないのも仕方がない
  3. 【問題点】 非正規雇用で年収200万円
    • 非正規雇用の派遣とパート・アルバイトでは年収200万円が限界
    • 非正規雇用だから、ボーナスなし、社会保険なし、退職金なしの「3なし」

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