定年後、待っているのは「老い」と「死」
『徒然草』の記述
「待っているのは、老いと死の2つだけだ。しかも、この2つは目にも留まらぬ早さでやって来る。生きる意味を知ろうとしないものは、老いも死も恐れない。この世が永久に不変と思い込んで、万物は流転し変化するという無常の法則をわきまえないからだ。
短い一生だからこそ、わずかな時間でも大切に過ごすべきだ。一銭はわずかな金であるが、コツコツと貯めていくと貧乏人も金持ちになる。それゆえ、商売人が一銭を惜しむ心は切実だ。同じように、一瞬などの短時間は明確に意識することは困難だが、その一瞬をおろそかにしていると、たちまちのうちに一生の最期を迎えてしまう。つまらないことに心を取られないで、世間との付き合いを絶ってでも真理を追究せよ」
「待っているのは『老い』と『死』の2つだけだ」なんて、シニアの胸にグサリと刺さる言葉です。しかし、落ち着いて考えてみると、これは自然の摂理。誰もあらがえない「冷厳な事実」なんですね。
若い頃は、人生に華を添えるさまざまなイベントがあります。入学と卒業、入社や転職、恋愛と結婚、子供の誕生と成長、人生はさまざまな彩りに満ちています。
ところが、60歳になり会社を定年退職したらどうでしょう。日々同じことのくり返し、日課でスポーツジムや図書館に行くくらいです。
イベントなんて何もありません。あっても、孫のお祝い(七五三、小学校入学)くらいでしょう。このさきの人生を真剣に考えると、暗澹たる気持ちになります。
作家や画家といった芸術家は、死期が迫っていても、死の数日前まで作品づくりに没頭します。作品は彼らの子供であり、作品の制作が、彼らの「生きがい」であり「使命」なのです。
私たち平凡なシニアにも、芸術家の「生きがいや使命」に代わる「夢」があったらいいですね。夢を持ち、夢の実現に日々邁進することが、沈鬱なシニアの日常を「再び輝かせる」ことになるのです。
60歳以上にこそ「夢」が必要
シニアには「夢」が必要です。そのためには「夢」を見つけなければなりません。
しかし、定年退職後に「さぁ、夢を見つけよう」と思っても簡単に見つかりません。理想は50歳くらいから、最低でも55歳くらいから探し始めなければいけません。
「幼い頃から叶えたかったこと」「人や社会に貢献できる何かをつくる」「死ぬまでににコレだけはやっておきたい」といったフレーズで探し始めます。
その結果、見つけた夢が「富士山に昇る」「バイクで日本一周」「起業したい」「再婚したい」だとしてもいいじゃないですか。どれも立派な「シニアの夢」です。
そして、いざ60歳で定年退職したら、退職金を元手に「夢の実現」に着手するのです。
塾長コンドーが好きな「石川啄木の詩」にこうあります。
残りの人生で、あなたが「成し遂げたい夢」を見つけましょう。
セカンドライフを輝かせるための「夢探し」
充実した定年後を送るために、必要なことは何でしょうか。それは、残りの人生を成し遂げたい「夢の実現」に使うことです。
しかしながら、50代はまだまだ現役、働きながら「定年後の夢」を見つけるのは簡単ではありません。
まずは「学ぶこと」から始めましょう。自分自身の興味・関心を探るのです。興味のある分野の本を読んだり、お手軽なセミナーに参加したりです。
サークルや講座の情報なら、区報や市報、公民館や図書館で得られます。ボランティアや地域の行事に参加してみるというのもいいですね。
とにかく「自分は何が好きで、何が苦手なのか?」フットワークが軽い50代のうちに、探し始めなければなりません。
一つではダメです。時間をかけて複数の講座やセミナーに参加してみましょう。
例えば、あなたが「コーヒー」に関心があったとしましょう。いきなり脱サラしてカフェを始めるなんて無謀です。リスクが高すぎます。
最初はカフェ開店講座に参加するとか、こっそり休日にお店でバイトをやってみればいいです。そこで「やっぱりおもしろい」と感じることができれば、適性がある可能性が高いといえます。
また、実際にバイトして接客や店舗運営が苦痛だとわかれば、早めに方向転換することも可能です。
50代、サラリーマンのまま「副業」で始める
サラリーマンでいることの何よりの強みは「安定した収入が確実に入ってくる」ことです。とりあえず一定の仕事量をこなしてさえいれば、収入は保証されます。
「会社が嫌い」「仕事がつらい」「上司がクソ」などいろいろあっても、給料は入ってきます。これほど恵まれた特権はありません。
起業はサラリーマンを続けながらでもスタートすることができます。いや、そのほうが成功する可能性が高いくらいです。
ビジネスは、うまくいかないことがほとんどです。ほとんどが失敗します。だから、サラリーマンとして働きながら「副業」でトライする。ビジネスが軌道にのり、サラリーマンの給料を超えたら独立して専従になる。
この方法なら、ほぼ「ノーリスク」で「起業にトライ」できます。非常に手堅い方法で、もっとも失敗の確率が低い方法です。これが一番のオススメです。
副業パターンがもっとも正解だね。だって、失うものが何もない。ノーリスクで起業にトライできる。これっきゃない!
わても賛成どす! お給金がいままで通りいただけてるなんて。ありがたい話やわぁー!
起業しようと考えている仕事が、
サラリーマンの副業で可能ならば
「ノーリスク」でトライできる
定年前に副業を「リアルにシミュレート」する
まずは「机上のシミュレーション」から始めましょう。「独立・起業のプランニング」です。頭の中で計画するだけですから、言ってみれば「空想」に近いものです。
その空想に近い「独立・起業プラン」を、実際に検証していく必要があります。身近な知人や友人に対してテストマーケティングを行い、売り方やプライシング(値付け)について探っていくのです。
これも会社勤めをしていれば、たとえ失敗しても何度も繰り返し検証することができるメリットがあります。
- 提供する商品・サービスの準備をする
↓ - お客さまを集める
↓ - 実際に利用してもらう(購入してもらう)
↓ - お金をいただき入金完了(お金をいただく場合)
↓ - 感想をいただく(アンケートを実施する)
↓ - 次回につなげる(リピートしてもらう)
この一連の流れが、スムーズにいくかどうかを確認します。 手を抜かずリアルに検証していきましょう。
もしも、想定外のことが起こったり、うまくいかなかった場合は、その部分をきちんと修正していきます。考えていたときには気づかなかったことが、一連の流れの中に置いてみるとよく見えてくるものです。
もしも何の問題もなくうまく流れる場合は、今度は「コストをかけずに、もっと集客数を増やせないか」「単価をもっと上げられないか」など、さらにプラスになる要素を追求します。検証と修正を重ねて、より強いビジネスモデルに仕上げていくことが重要です。
これらの作業と並行して、専門知識を習得することも大切です。週に1~2回専門学校の夜間コースを受講してプロの知識を会得します。
ここまで準備ができたら、定年退職の日を待って、実際に事業(夢の実現)をスタートさせましょう。